物流施設計画及び改善|関連知識 __メニューへ__

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物流体系・拠点分析

配送センターの種類と機能レベル

サプライチェーン全体における物流の分類(種類)と領域ごとの特性の違い(生産物流 vs 販売物流)、近年のBtoC(通販)拡大が物流コストに与える構造的影響について解説します。

1-1.物流の種類

物流の種類・分類図

1-2.解説とポイント

① 物流の5つの分類(サプライチェーンの流れ)

物の流れは大きく以下の5つに分類されます。

調達物流

原料や部品・材料を仕入先から工場へ送る物流。

生産物流

工場内での原材料の移動や、完成品を倉庫・配送センターへ運ぶ物流。

販売物流

完成品を倉庫・配送センターから「卸・小売(BtoB)」や「最終顧客(BtoC)」へ届ける物流。

廃棄物流

不要になった梱包資材やゴミ等を処分・廃棄するための物流。

静脈物流

リサイクル・再利用・返品のために製品や資材を回収する物流(静脈に例えられます)。

② 生産物流(武家社会)と販売物流(町人社会)の決定的な違い

「武家社会」と「町人社会」という比喩表現は、物流管理の本質を捉えています。

③ BtoC(通販)の増加と「物流コストが下がらない理由」

従来のBtoB(企業間物流)

配送センターから「卸」や「小売店」へ、ケース単位・パレット単位の「まとめて大ロット輸送」が可能でした。

拡大するBtoC(通販・EC)

配送センターから「個人宅」へ、1点・バラ単位の「細切れ小ロット配送」となります。

💡 コストが下がらなくなるメカニズム
1. 作業工数の急増: 1個ずつ商品をピックアップ(バラピッキング)し、個包装・検品する手間が激増します。
2. 配送効率の低下: 大型のトラックで数社へ届けるBtoBに対し、BtoCは少量の荷物を無数の個人宅へ届けるため、車両台数・走行距離・再配達などのコストが跳ね上がります。

1-3.まとめ

「販売物流(特にBtoC)は需要の波(波動)に左右されやすく、小口化が進むためコストダウンが非常に難しくなっている」という構造的課題を示しています。そのため、現場では「いかに波動を吸収する仕組みをつくるか」「小口ピッキング・出荷作業の自動化・効率化を図るか」が重要なテーマとなります。

2-1.販売物流の倉庫特性

販売物流の倉庫特性

代表的な2つの拠点形態である「メーカの製品倉庫」と「小売・卸の配送センター」の違いを5項目で比較し、どのような改善アプローチ(システム提案)が必要かを整理しています。

2-2.項目別の対比と解説

比較項目 メーカの製品倉庫 小売・卸の配送センター(重点領域) 解説・構造的な違い
倉庫の目的 生産と販売のバッファ(製品保管) 販売店への仕分け(オーダーピッキング) メーカが保管型であるのに対し、小売・卸は迅速に仕分けて送り出す通過・ピッキング型です。
品種 数百種(追加変更は少ない) 数千種(常に変更・荷主変更あり) 小売・卸は取扱アイテム数が桁違いに多く、頻繁に入れ替わるため固定的な棚設計が難しい環境です。
扱い荷姿 パレット単位 ケース・バラ単位 メーカは大口(パレット)動ですが、小売・卸は小口(ケース・バラ)作業中心で手作業比率が高まります。
配送 遠距離(1回/日〜週) 近距離(1〜3回/日・小口多頻度) 小売・卸は店舗への小口多頻度配送に対応するため、出荷のタイムスケジュールが極めてシビアです。
コストダウン・品質向上のアプローチ 自動倉庫などの機械化により省人化・在庫精度向上を図る 機械化は困難なため、情報機器支援によるピッキング精度・効率向上を目指す メーカは荷姿・品種固定でハード自動化が容易ですが、小売・卸は波動や多品種に対応する柔軟性(ソフト面)が求められます。

2-3.物流提案・改善におけるインサイト

① メーカ製品倉庫への提案【ハード(物流機器)中心】

荷姿や品種が標準化・固定化されているため、自動倉庫・パレタイザ・AGVといった大型物流機器の導入による「省人化・無人化」がコスト対効果を発揮しやすい領域です。

② 小売・卸配送センターへの提案【ソフト(WMS・業務支援)中心】

多品種・小口バラ出荷・頻繁な入れ替えがあるため、WMSを軸にハンディターミナルやデジタルピッキングを組み合わせ、作業動線の最適化・ポカヨケ・作業スピード向上を図る提案が極めて有効です。

3-1.配送センターの管理レベル

配送センターにおけるIT・機器・設備の導入段階(デジタル化・自動化の成熟度)を「レベル1〜レベル4」の4段階に分類したモデルです。

配送センターの管理レベル4段階

3-2.配送センターの管理レベル(4段階のステップアップ)

管理レベル 運用の特徴 使用しているIT・機器・設備 メーカのビジネスチャンス
(レベル1)
伝票ベースの運用
「人(熟練者)に依存した運用」
・紙の納入伝票で検品
・在庫/品揃え/配車は人の頭や紙で管理
・伝票発行用PC
・簡単な在庫管理ソフト
倉庫管理システム(WMS)の導入提案
(レベル2)
WMS導入
「データ・リストに基づく運用」
・リストに基づく目視検品
・ロケーション管理/配車支援の開始
・倉庫管理システム(WMS) より高度なWMS+作業支援機器の導入
(レベル3)
WMS+作業支援機器
「ポカヨケ・リアルタイム運用」
・BCR(バーコード)検品
・無線LAN/ランプ指示でペーパーレス化
・WMS / バーコードシステム
・無線LAN端末 / ピッキング台車
・デジタルピッキング
自動化機器の導入
(レベル4)
自動化機器活用
「省人化・自動化された運用」
・自動倉庫での在庫管理
・自動ピッキング、自動仕分け
・WMS / 自動倉庫
・パレタイザ / デパレタイザ
・自動仕分け機 / 自動ピッキング
新規配送センター建設の提案

3-3.詳細解説とビジネス上の重要インサイト

4-1.センター規模と情報システム区分

物流センターの規模・複雑性(業種数・面積・顧客数)に応じた「設備・マテハンレベル」と、それを支える「IT・情報システム区分」の対応関係を体系化したものです。

センター規模と情報システム区分

4-2.詳細解説

① 設備・マテハンレベル(ピラミッド構造)

  • 最下層:棚・台車・作業員(人力主体の運用)
  • 第2層:荷役機器(フォークリフトやコンベヤ等の人力を補助する機器)
  • 第3層:単一システム(自動倉庫のみ・ソーターのみ等の単体自動化)
  • 最上層:複合システム(自動倉庫+AGV+自動ピッキング等の高度連携)

② 情報システム区分(4つのレイヤー)

  • 経理システム:全レベルのベースとなる最上位基幹システム
  • 在庫管理システム:理論在庫を管理するシステム
  • 倉庫管理システム(WMS):ロケーション・ピッキング手順など現物・作業ロジックを管理
  • 作業支援システム(無線LAN):ハンディ端末等にリアルタイム指示・実績検知(ポカヨケ)

4-3.実務・改善提案における重要インサイト

1. 「作業支援システム(無線LAN)」が現場改善の要
自動化設備を導入しない現場であっても、「作業支援システム+無線LAN」を導入するだけで作業精度と生産性が飛躍的に向上します。

2. 設備投資(ハード)とシステム投資(ソフト)のミスマッチ防止
現場の物理レベルに合わせて、まずは「WMS + 作業支援システム(ハンディ・無線LAN)」をセットで導入し現場のデジタル化を図ることが、最も投資対効果の高いアプローチとなります。