配送センターの自動化・機械化をするとき、検討時に物流機器処理能力(1時間あたりに処理・搬送できるケース数やトート数)を正しく把握し、要求物量と処理能力の一致を確認して設備選定を行う必要があります[cite: 5]。
以下に、物流機器処理能力の目安と、システム設計における活用・考え方について解説します[cite: 5]。
研修・設計資料に基づく代表的な物流機器の処理能力(1時間あたり)の目安は以下の通りです[cite: 5]。
| 機器・システム名 | 処理能力の目安(1時間あたり) | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| A型Picマシン | 1,200 トート | 高速自動ピッキング・保管機器。小物や高流動品のバラピッキング等に活用[cite: 5]。 |
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SASシステム (ケース順立て高速出庫) |
600 ケース | ケース単位の順立て出庫システム。低流動品や複雑な出荷バッチの処理に有効[cite: 5]。 |
| 仕分機(ソーター) | 2,000 〜 10,000 ケース | 配送先別・方面別に荷物を自動仕分けするクロスベルトソーターやシューソーター等[cite: 5]。 |
| 高速分岐合流ライン | 2,000 〜 6,000 ケース | 複数の搬送コンベヤラインを高速で1本に集約、または分岐させる設備[cite: 5]。 |
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ベルトコンベヤ (速度 20〜70m/分) |
1,800 〜 3,600 ケース (搬送ピッチによる) |
物流センター内の基本搬送ライン。コンベヤ速度と荷物の流れる間隔(ピッチ)で処理能力が決まる[cite: 5]。 |

物流現場では日別・時間帯別の出荷波動(波)が存在します[cite: 5]。1日の平均処理能力ではなく、「最も出荷が集中するピーク時間帯に何ケース(トート)を処理する必要があるか」をEIQ分析等で算出し、機器の能力がそれを上回るように設計します[cite: 5]。
仕分機単体の能力が10,000ケース/時であっても、そこに給車する手前側のコンベヤや前工程(SAS等)の処理能力が3,000ケース/時であれば、全体の処理能力は3,000ケース/時に制限されてしまいます[cite: 5]。
設備構成のピラミッド全体で前後の流れのボトルネックを作らないトータルバランスの設計が必要です[cite: 5]。
多品種小口出荷が多い現場など、すべてを最高スペックの自動化機器(レベル4)で固めると投資対効果(ROI)が見合わない場合があります[cite: 5]。
「基本能力を持った搬送コンベヤ+WMS+無線ハンディターミナル/デジタルピッキング」といった作業支援機器(ソフト面)との併用によって、全体最適と柔軟な運用を実現することが鉄則です[cite: 5]。
対象: パレットに積まれた状態のまとまった荷物(大型の段ボール、原料、完成品など)[cite: 5]。
特徴: 高いラックとスタッカークレーンを用いて、高層空間を最大限に活用して大量のパレットを保管します[cite: 5]。長期保管や工場・大型DCのストックヤードに向いています[cite: 5]。
対象: 段ボールケース、樹脂コンテナ、トートボックスなど[cite: 5]。
特徴: ケース単位やコンテナ単位での入出庫・ピッキングを自動化するシステムです[cite: 5]。ECのバックヤードや部品センターなど、中規模以上の物量をスピーディーに処理したい場合に適しています[cite: 5]。
対象: 多品種少量のピース・バラ商品、コンテナ[cite: 5]。
特徴: 庫内を移動する高速シャトルやロボットが専用コンテナを搬送し、作業者の手元まで自動で届けます[cite: 5]。高頻度の出荷やECのピッキング業務に非常に強い構造です[cite: 5]。
自動倉庫の処理能力は、「1時間あたりに何サイクル(入出庫)できるか(サイクル/時)」で評価されます[cite: 5]。
ロボット型・シャトル式 > ミニロード型 > ユニットロード型[cite: 5]
シャトルやロボットが多数並行して稼働するシステムは、同時並行でアクセスできるため、高頻度な小口出荷(ピース単位)に対して非常に高い処理能力を発揮します[cite: 5]。一方、パレットを扱うユニットロード型は1回あたりの搬送重量や体積は大きいものの、クレーン1台あたりのサイクル数(速度)は構造上制限されます[cite: 5]。
平均的な入出庫数だけでなく、「一日のうちで最も出荷が集中するピーク時間帯にどれだけの処理が必要か(ピーク時能力)」を算出することが不可欠です[cite: 5]。
自動倉庫本体のクレーンやロボットの性能だけでなく、前後のコンベヤ搬送能力や、作業者がピッキング・検品を行うスピード(マンマシン・インターフェース)を含めたシステム全体のトータルバランスが、実際の処理能力の上限を決定づけます[cite: 5]。
高層ラックにクレーン(スタッカークレーン)が走る大型自動倉庫です[cite: 5]。1パレットあたりの重量が重いため、スピード(サイクル数)よりも「保管効率(空間利用)」や「安全・確実な搬送」に強みがあります[cite: 5]。速度向上型やツインフォーク(一度に2パレット搬送可能)仕様にすることで、処理能力を1.5〜2倍近くまで引き上げるモデルもあります[cite: 5]。
段ボール箱や樹脂コンテナ単位で高密度保管・自動入出庫を行うタイプです[cite: 5]。クレーンが軽量かつ高速で動作するため、パレット型に比べて3〜4倍の処理能力を発揮します[cite: 5]。
・シャトル単体: 約 300 〜 1,000 ケース(行)/ 時(システム全体)[cite: 5]
・ピッキングステーション能力: 約 400 〜 1,000 行 / 時(1作業者あたり)[cite: 5]
各棚(または数段ごと)に自走する「高速シャトル」や「GTPロボット」を走らせ、作業者の手元(ステーション)まで商品を自動搬送する最新型システムです[cite: 5]。従来のミニロード型クレーンよりも圧倒的に高速で、EC通販や多品種小口のピースピッキングにおいて極めて高い処理能力を誇ります[cite: 5]。
自動倉庫の処理能力(サイクル)の考え方には、以下の2パターンがあります[cite: 5]。
パレット自動倉庫(ユニットロード型)の場合、クレーン(スタッカークレーン)の走行距離や高さによって所要時間が変わりますが、一般的には以下のようになります[cite: 5]。
⚠️ 実務・仕様書での注意点
カタログや仕様書で「能力:〇〇 サイクル/時」とだけ書かれている場合、最高能力(最も効率が良いダブルサイクル時の往復回数)を基準として表記しているケースが多々あります[cite: 5]。
そのため、システム選定時には「これはシングルサイクル(1パレット移動)での数値か、ダブルサイクル(入出庫2パレット移動)での数値か」をメーカーへ確認することが必須となります[cite: 5]。
メーカーの最大処理能力が「1,000ケース/時」であっても、稼働率(余裕度)や作業員のピッキング速度(マンマシン・インターフェース)との兼ね合いから、実運用では定格の70〜80%程度で安全設計するのが一般的です[cite: 5]。
自動倉庫本体のクレーン速度が高くても、出庫口に繋がるコンベヤやソーター(仕分機)の処理能力が追いつかないと全体がストップしてしまいます[cite: 5]。システム全体の能力バランス(ボトルネック防止)が不可欠です[cite: 5]。