1.データ分析の背景
1-3.データ分析はいつ行うか
「商談」と「顧客」の進行プロセスの違い
物流センター構築プロジェクトは、受注側(商談)と発注側(顧客)の2つの異なる時間軸が並走しながら進みます。
- 商談の進行(左側の軸):
受注側(メーカーやシステム会社)の内部プロセスです。「営業主体」と「技術主体」の分業リレーで進みます。営業が引き合いと要望を整理し、技術がデータ分析(現状分析・将来予測)を行って前提条件を固め、複数案を提案します。その後、調整を経て、再び営業が最終見積と受注をまとめる流れです。
- 顧客の進行(上部の軸):
発注側の意思決定プロセスです。「初期引合い」から始まり、「現状把握」「システム提案」「システム再構築」「最終見積」「受注」へと進みます。重要なのは、各フェーズの間に「前提条件確定」「システム模索」「統一仕様書」「顧客稟議」といった関門(ゲート)が存在し、これをクリアしないと次の段階へ進めない構造になっている点です。
プロジェクト運用(進行の内容)はどう絡むか
上記2つの軸(商談と顧客)を実務レベルで繋ぎ合わせるのが、図の右下に描かれている「進行の内容(プロジェクトの運用)」です。ここでの要(かなめ)がデータ分析になります。
- 技術主体が行うデータ分析(入出荷特性や将来予測)をコアとして、商品特性を掛け合わせ「新センターの出荷特性予測」を導き出します。
- 導き出された特性に対し、「立地・敷地制約条件」や「投資予算」「社内外の要因(3PL・4PLの活用など)」という現実的な要素をぶつけ、最適なシステムや建屋仕様をすり合わせていきます。
【補足解説】手戻り(ループ)を前提とした運用プロセス
図の最下部に「提案内容が変わるたびにDATAの見直しが必要」と記載されています。
実際のプロジェクト運用において、最初に出した提案がそのまま通ることはほぼありません。顧客の予算オーバーによる「システム再構築」や、稟議での差し戻しなど、必ず壁にぶつかります。その際、単に機器を減らして値引きするのではなく、必ず「データ分析(前提条件)」に立ち戻る必要があります。
「この条件を変えると、将来の出荷ピークに対応できなくなるがよいか?」といった形で、DATAを根拠にして要件を再定義し、情報システムや作業方法を再調整するループ(アジャイル的なすり合わせ)を繰り返します。この三位一体(商談・顧客・実データ)の歯車が噛み合うことで、初めてブレのない「統一仕様書」が完成します。