第4節 分析結果の出力と保存

出荷データから在庫量や入荷量を導き出すための基本的な考え方と計算ロジックについて解説します。

1. 出荷・入荷・在庫の基本関係

物流センターにおける物量の流れは、以下の数式で表されます。

累計入荷 - 累計出荷 = 在庫

  • 出荷の特性: 顧客の注文に基づくため、センター側で数量や納期をコントロールすることはできません。
  • 入荷の特性: 在庫を確保するための業務であり、センター側が仕入先に対して数量や納品日時を指示することが可能です。
  • 在庫の目的: 日々変動する出荷に対し、欠品を起こさない量を確保しつつ、コスト削減のために可能な限り圧縮することが求められます。

2. 在庫数(保管数量)の推定ロジック

Tera計算では、安定した運用時の在庫量を以下の式で算出します。

計算式

安定運用時在庫量 = 安全在庫 + (変動在庫 / 2)

※ 変動在庫 = 最大在庫 - 安全在庫

  • 日次出荷量: 全出荷データの平均値を使用します。
  • 在庫日数の考え方: 「平均出荷量 × 日数」を基準に管理します。
  • 実務への適用: この計算値は理論上の平均保管量であるため、実務上の余裕が必要な場合は、算出後に「余裕率」を付加して調整します。
  • 補足: 在庫物量の計算において「発注点」は考慮しません。発注点はあくまで入荷までの期間を保証する発注タイミングの指標です。

3. 出荷データに現れない「死蔵在庫」の扱い

全ての在庫アイテムが分析対象の出荷データ期間内に動くわけではありません。特に低流動品は出荷実績がゼロの場合があります。

  • ランクへの加算: Tera計算では、出荷データに載っていない(引き当てがない)在庫アイテムを、在庫・入荷計算時にバラ出荷のDランクに加算して計算します。
  • 対象の限定: この加算処理はバラ出荷アイテムに対してのみ行い、ケース出荷アイテムには適用しません。

これまでのステップで、出荷データから「動いている物量」だけでなく、「眠っている在庫」も含めたセンター全体のボリュームを推定する準備が整いました。

第1項 在庫の平均と安定時運用在庫の違い


在庫量推定画面のフロー1
左図はtera計算2の在庫量推定画面のフローである。

在庫とは、出荷のために事前に入荷し保管保管している商品、在庫量はその物量。
在庫量は在庫日数と言う単位でも表現できる、在庫日数は出荷量の何日分に相当する物量と意味。 Tera計算では在庫(日)で記されたものは在庫日数のこと。
最大在庫は在庫の上限値、これ以上の在庫はしない。
 安全在庫は 在庫量の下限値で常に確保している在庫、入荷品の遅れや予想以上の出荷が有った時はこの安全在庫から出荷する。
最大在庫から安全在庫を引いた在庫が変動する在庫で、日々の在庫の変動はこの範囲で上下する。
注文点は仕入発注してから入荷されるまでの期間を逆算して設定された発注日の在庫で、この注文点の在庫を最小在庫と言う。 仕入担当者は在庫が減じて最小在庫になると仕入発注する。
最大在庫日数を守り保管規模を小さくするためには、各アイテムの入荷日を分散(変動する在庫6日分180アイテムあれば一日30アイテム入荷)する。安定運用時在庫=変動する在庫/2+安全在庫の管理をすることで、配送センター全体の在庫量を最小かつ一定に保つことが出来る。 Tera計算ではこの管理された在庫を安定運用時在庫と呼ぶ。

計算例で説明する。下記の図で出荷数10個/日とすれば、「最大在庫=出荷数*最大在庫期間=10*8=80個」
「在庫の平均=最大在庫/2=40個」、「安全在庫=出荷数*安全在庫期間=10*2=20個、入荷期間が2日であれば、「最小在庫=安全在庫+(出荷量*入荷期間)=20+(10*2)=40個」となる。

Tera計算の在庫計算は在庫の平均ではなく、下記の安定運用時在庫の計算を行っている。
「変動する在庫=出荷数*(最大在庫期間-安全在庫期間)=10*(8-2)=60個」
「安定運用時在庫=(変動する在庫/2)+安全在庫=30+20=50個」

  上記の計算で考えると、最小在庫時に仕入発注を繰り返すと最大在庫=最小在庫となり、出荷の3日前から、1日分の仕入発注を毎日繰り返すと「安全在庫+出荷数*1日」が最大在庫となる。 賞味期間の短い牛乳の配送センターのように、安全在庫もなく当日入荷の当日出荷を行っている配送センターもある。
しかし大半の配送センターは、最小在庫の2倍以上の在庫(最大在庫)を持っている。
仕入数により仕入単価が違う事や商品確保、メーカであれば製造ロットの確保等、全社的メリットを顧慮して最大在庫が設定されている。
在庫量推定画面のフロー2
Tera計算は、配送センター側の都合だけで出荷量が担保できる在庫量を設定すると現状と合わない少ない在庫設定となるので、最大在庫と安産在庫を任意に変更できるよう工夫している。

注:安定運用時在庫はTera計算説明のために使用した用語で在庫用語ではない。また、在庫の平均も在庫用語の平均在庫と意味が違う。在庫用語の平均在庫は他の書籍で確認頂きたい。

第2項 在庫量推定

Tera計算では、バラ出荷のB行I_Dランクの出荷アイテム数に出荷していないアイテム数を加算している。 また、保管スペース計算時は上記計算の1.1倍(Tera設定)物量として計算している。
注:この計算は出荷データのPL換算を単純集計した数値。
PL当たりの積載数を考慮必要がある。
在庫量推定

出荷データから在庫量を計算する方法は前項で述べた。
計算例として、出荷データ2022/05/09から在庫量(PL換算)計算する手順を説明する。
1.アイテムランク別に2022/05/09の出荷物量算出(連番1-5)。
2.最大在庫数(日)及び安全在庫(日)で指定し(連番7-8)、安定運用時在庫(日)を計算、計算式は安定運用時在庫=(最大在庫(日)―安全在庫(日))/2+安全在庫(日)である(連番9)。
3.安定運用時在庫数量を計算、計算式は出荷量*安定運用時在庫(日)。
4.安定運用時在庫*出荷量で計算(連番10-14)。連番16-18は安定運用時在庫/アイテム数で算出。
5.この表計算のポイントは、パレット積付方法の計算。 単載積付はパレットに1アイテム積載、2混載積付はパレットに2アイテムを積載で、混載積付は先頭数字がパレットに積載するアイテム数を示している。
単載積付と混載積付を区分する方法は、アイテム当たり在庫(PL換算)が0.5PL以上で有れば単載積付で、0.5PL~0.33は2混載積載、0.32~0.25は3混載積載0.24-0.125は4混載積載で、0.125以下は8混載積載として計算している。
混載積載のPL換算はアイテム数/PL積載アイテム数で算出する。

パレット積付の判定基準

アイテム当たり在庫量 積付区分
0.5 PL 以上 単載(1パレット1アイテム)
0.33 PL 〜 0.5 PL 未満 2混載(2アイテム/PL)
0.25 PL 〜 0.33 PL 未満 3混載(3アイテム/PL)
0.125 PL 〜 0.25 PL 未満 4混載(4アイテム/PL)
0.125 PL 以下 8混載(8アイテム/PL)

実務上のポイント

  • 在庫の分散: 保管規模を最小化するため、各アイテムの入荷日を分散させる管理が有効です(例:180アイテムを6日の変動期間で回す場合、1日30アイテムずつ入荷)。
  • 実績との差異検証: 出荷データから導き出した「適正な在庫量」と「実績の在庫データ」の差異を検証することで、過剰在庫や潜在的な問題を発見できます。
  • 柔軟な設定: 仕入単価や製造ロットの関係で現状の在庫が多い場合を想定し、最大在庫・安全在庫を任意に変更してシミュレーションできるよう工夫されています。

在庫量の推定画面

在庫量の推定画面