第8節 保管スペース計算

この資料は、物流センターにおける「保管スペース」の算出方法と、主要な保管設備(ラック)の特徴を解説したものです。

保管スペースの設計において最も重要なのは、「出荷形態(ケースかバラか)」による在庫保管の切り分けと、「パレット(PL)換算による正確な容積把握」です。

1. 保管物量の振り分けロジック

全在庫をそのまま保管スペースに割り当てるのではなく、作業工程に合わせた計算を行います。

2. 保管設備の割付と法的制約

Tera計算2では、アイテムのランクに合わせて5種類の保管設備を割り当てることが可能です。

3. 主要な保管設備の特徴

設備名 特徴・計算のポイント
PL固定棚 ビーム(横梁)でパレットを支える最も一般的な保管設備。常に全てのパレットにアクセス可能(デュアル棚)。建物とのクリアランスや荷同士の隙間を考慮して算出します。
PL電動棚1 固定棚を電動台車に載せて移動させる設備。通路を共有することで保管スペースを小さくできます。台車分の高さや制御盤の幅を計算に加味します。
PL電動棚2 固定棚の間に2台の電動棚を配置し、通常3通路必要なエリアを1通路で運用可能にします。
プッシュバック棚 パレットを奥に押し込んで格納する高密度な保管設備です。保管スペースを有効活用できます。
PL自動倉庫 クレーン等を用いて自動で入出庫を行い、高層化による圧倒的な在庫保管能力を持つ設備です。

4. 算出の精度を高める「PL積載数」

保管スペースの計算では、単純な容積換算ではなく「パレット(PL)換算」を使用します。

容積だけでは正確な格納数が算出できないため、出荷データに設定された「ケースごとのPL積載数(積み付けモジュール)」を用いて、現実に即した必要パレット枚数を導き出し、在庫保管面積を決定します。

保管スペース計算のシステム概要画面

第1項 保管スペース面積の計算

ケース出荷アイテムは、保管スペースより直接出庫しているから全在庫が保管スペース在庫となる。バラ出荷アイテムは、保管スペースから出荷作業スペースへ補充し、出荷作業スペース(フロー棚や中量棚)からピッキング出庫している。
このフロー棚や中量棚に一定量のバラ出荷アイテムが保管されている。したがって保管スペースのバラ出荷分アイテムの在庫は、バラ出荷アイテム全在庫量―出荷作業スペース在庫となる。

保管スペースと出荷作業スペース物量振分け計算

タブページ保管物量振り分け画面は全在庫から出荷作業スペースの在庫を引いて保管スペースの物量算出する計算過程を示している。

着目点は、バラ出荷アイテムDランク品が出荷作業スペース棚のみで完結し、保管スペース棚には保管しないアイテム数を計算している。
バラDランク全アイテム数 = 2847
バラDランク全容積 = 118
バラDランクバラ棚容積 = 241
バラ棚容積比 = 204%
バラ棚完結アイテム数 2847 = Int(バラDランク全アイテム数*((バラ棚容積比 / 100) * 0.6) + 0.5)
バラ出荷アイテムランクDランク(出荷無し在庫数含む)のアイテム数 3082 のうち 2847 アイテム数は出荷作業スペースの棚に保管され保管スペース棚には保管されない。保管スペース棚に保管されるバラ出荷アイテムランクDランク商品は 235 アイテム数となる。

もう一つの着目点は、出荷作業スペースの棚計算は容積換算、保管スペースの棚はPL換算を使用している点。パレット格納数は容積換算では正確な計算ができない。出荷データ項目に各アイテムにケースのPL積載数(積み付けモジュール)が設定されているのはこのため。

出荷ランクと保管設備割付

出荷ランクと保管設備割り当て画面はアイテムランクに保管設備を割り付ける画面。
各ランクのコンボボックスにPL固定棚・PL電動棚1・電動棚2・プッシュバック棚・PL自動倉庫など5種類の保管設備を割付可能。

各設備共通に消防法で決められた約束事が有る。
棚の最上段に保管する保管物の底部が5000mm以下であること。
5000mmを超えたときは仮想床が追加され200㎡の設備は仮想床200㎡(5000mmピッチで仮想床が加算される)となる。
通常建物は1500㎡ごとに防火壁が必要であるが、仮想床200㎡が加算された建物は床面積1300㎡で防火壁が必要となる。
仮想床とは実際に床が無くても床が有るとして法的適応を求められる計算上の床。

PL固定棚の構造図

第2項 PL固定棚

Tera計算は、全ての計算においてパレット荷姿を 1100W * 1100D * 1350H(PL高150mm含む)で計算している。
保管荷姿の種類は、1パレットに1アイテム載せることを単載格納(単載PL)と言い、1パレットに2アイテム載せることを2混載格納(2混載PL)と言う。混載格納は先頭文字に混載アイテム数を記載することで混載区分をする。
パレット上の商品は同じ商品を縦方向に積み上げ(棒積みと言う)、他の商品と混ざらないよう管理している。このため混載PLは単載より保管効率が落ちる。PL固定棚は大部分の配送センターで導入されている棚で、ビーム(横梁)でパレットを支えているため、棚の間に荷役通路を設ける(デュアル棚と言う)ことで常にどのパレット上の商品に対しても荷役が出来る。

直積みのように商品の上に商品を載せることはなく商品破損を防ぎ、パレット上の商品が規則正しく並んでいるためロケーション管理(商品と棚番地を紐付けて管理し入出庫が楽に正確にできる仕組み)が容易。
棚は建物から 100-200mm(高さ・建物との取り合いにより変化)離してアンカー(床止め金具)固定して荷役時に商品・荷役機器の建物との接触を防ぎ、地震時の建物と棚の接触を防ぐ距離(クリアランスと言う)を取る。
保管されている荷の隙間(クリアランス)は棚支柱・横ビーム・パレット荷共に 100mm。

1. 棚設置部Aと棚補助通路Bを計算単位として、A部棚が 2列 * 5連 * 3段 * 2PL = 60PL 保管に必要な 13.1m * 5m = 65.5㎡、B部通路は加算を選択した時 5m * 2m = 10㎡ が計算に追加される。但し、1棚2PL * 3段で構成されるため 6PL の整数倍で、130PL であれば 132PL として計算。
例として、132PL 保管が必要な時 132PL / 6PL = 22棚となり、A部は10棚構成なので = 2.2倍の面積 65.5㎡ * 2.2 = 144.1㎡ の設置面積が必要となる。
棚補助通路は、2.2倍 * 10㎡ = 22㎡ 必要となる。

プッシュバック棚

プッシュバック棚は、フォークリフトでパレットを奥に押し込んで格納する高密度な保管設備です。通路面積を大幅に削減できるため、限られた保管スペースで効率的な在庫保管が可能になります。先入れ後出し(LIFO)が基本となるため、同一アイテムを大量に保管する場合に適しています。

プッシュバック棚のイラスト
PL電動棚1の概要図

第3項 PL電動棚1

PL電動台車は納入事例が多い設備である。
PL電動棚はPL固定棚を電動台車に載せ、電動台車棚を移動させることにより荷役通路(2通路)を共有、通路を少なくする(1通路)ことにより棚設置面積を小さくする。
電動棚が商品化された初期は床に軌道レールを埋め込む必要があったが、最近はレールレスになってきている。レールレス電動棚は床工事が必要ないため、この点が納入事例が多くなった要因となっている。
計算方法はPL固定棚と同じ。
注意点は電動台車高が 200-250mm 有るため、電動台車上にあるPL棚高さ方向寸法はPL固定棚より 200-250mm 嵩上げされた寸法になる。電動台車の連方向の片側に制御盤 400mm が取付けられ、連方向はPL固定棚寸法 + 400mm となる。
大きな荷重の棚が動き、棚が偏向集中するので床強度に注意が必要。

PL電動棚2の概要図

第4項 PL電動棚2

PL電動棚2はPL固定棚の間にPL電動棚を2台置き、3通路必要なところを1通路で荷役を可能にしている。

PL自動倉庫

PL自動倉庫の全体図

PL自動倉庫は、スタッカークレーンを使用してパレットを自動で入出庫する最新の保管設備です。建物の高さを最大限に活かした高層化が可能であり、狭い保管スペースでも圧倒的な在庫保管能力を誇ります。また、システム制御による正確な保管管理と、作業者の省力化を同時に実現します。

その他設備

このページで紹介した以外にも、物流センターの特性に合わせた多様な保管設備が存在し、在庫保管の要件に応じて選択されます。

各保管設備面積比

同一のパレット数を保管する場合、どの保管設備を選ぶかによって必要な保管スペースは大きく変わります。例えば、PL固定棚の必要面積を100%とした場合の目安は以下の通りです。

このように、保管設備の選定は物流センター全体の面積に直結します。

スペース面積倍率

保管スペースを計算する際、パレットや棚の理論的な寸法だけでは実際の運用はできません。フォークリフトの旋回や荷役のための作業通路、建物の柱や梁とのクリアランス(隙間)、一時的な荷捌きエリアなどを考慮する必要があります。

そのため、理論上の保管面積に対して「スペース面積倍率」(通常120%〜150%程度)を掛けることで、実運用に耐えうる正確な保管スペースと在庫保管エリアを算出します。